公開シンポジウム(光がもたらす環境周期への生物の多様な適応機構)

12月2日[土]1:00pm – 3:15pm(12:30受付開始)
大学会館・講堂

光がもたらす環境周期への生物の多様な適応機構
  • オーガナイザー
    濵中 良隆[大阪大学大学院 理学研究科]永田 崇[東京大学 物性研究所]
  • 概要
    地球は公転軸からわずかに傾いた自転軸を中心に自転しながら、太陽の周りを公転している。これにより、地球上の多くの地域において、一日の周期で昼夜の変化が、約一年の周期で季節の変化がそれぞれ生じる。昼夜や季節の移り変わりは、明暗、日の長さ(光周期)、温度、餌資源などの環境変化を伴う。これらの変化は概ね周期的であり、事前に予測することで、その変化に適切に対応することが出来る。このため、生物は周期的な環境変化に適応するための仕組みを進化させてきた。
    多くの生物は、一日の中の明暗周期に適応するため、活動時刻の制御やエネルギー代謝の効率化を可能とする概日リズムを獲得した。続いて、年間を通した寒暖差が大きい高緯度や高山地帯へと生息域を拡大させる過程で、光周期に応答する仕組み(光周性)を獲得したと一般的に考えられている。光周性の獲得は、冬などの過酷な季節をやり過ごすための特別な生理状態(休眠あるいは冬眠)へ事前に入ることを、また、温暖で餌資源の豊富な季節に成長や繁殖を効果的に集中させることを可能にした。
    このように生物は、概日リズムや光周性といった、光の変化と結びついた環境周期への適応戦略を共通の枠組みとして持つ。一方で、経験する環境変化やそれらへの適応方法は生物種によって極めて多様である。本シンポジウムでは、「昼夜の明暗変化」「光周期の変化」に対する生物の適応機構に着目し、生物の光環境変化への様々な適応機構を取り上げる。これによって、地球上の光環境変化への生物の巧みな適応戦略の面白さを紹介したい。
  • 演者・演題
    • S1-1:石川 麻乃[東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 分子生態遺伝学分野]季節性繁殖の収斂進化の分子遺伝機構
    • S1-2:久保田 茜1、山本 いずみ1、田内 雄大1、高橋 望1, 2、遠藤 求11奈良先端大・バイオサイエンス領域、2科学技術振興機構・PREST]光と概日時計による植物の日長認識機構
    • S1-3:小島 慧一[岡山大学 学術研究院医歯薬学域]カエルとヤモリが夜でも色が分かるのはなぜ?
    • S1-4:吉村 崇 [名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所]自然条件下の魚類と哺乳類からみえてきた脊椎動物の季節適応機構